Googleの「Nexus S」に続いてAppleの「iPhone 5」にもNFCが搭載されるという話題がネット上で飛び交っています。
日本国内のユーザーの関心事はSuicaやEdyは使えるのかどうかというところに尽きるようですが、なかなか難しい問題もあるようです。
NFC搭載が即、日本でいうおサイフ携帯にという短絡的な図式は成り立たず、NFCという通信プラットフォームは共用できてもシステムの互換性やプロトコルの共有などいろいろ解決しなければいけない問題が山積みです。
ICチップの世界標準はやはり10億枚を超える発行枚数からもNXPセミコンダクターのMifareと行っても間違いないと言えますし、ハードの製造側もサービス・ベンダーもそちらの規格に合わせた開発を行います。
ただし、このMifareについてはいろいろ解決すべき課題があり、2008年のMifare Classicのハッキング問題への対応として、高セキュリティのMifare DESfireやMifare Plusへの切り替えを余儀なくされたのですが、その代償として処理速度の低下というありがたくない結果もついてきました。
このため、非接触IC乗車券のオイスターカードを発行する英国ロンドン交通局では2012年から非接触のデビットカードやビザやマスターなどのクレジットカードでも改札でタッチするだけで乗車可能にすると公表しているにも関わらず、それぞれのカードが交通局が基準としている改札処理時間0.2から0.3秒以内を満たすことができるかどうか定かではないそうです。
また、携帯端末に装着することで容易にNFC機能を実現できると期待されるNFC SIMカードにしてもソフトウェアの問題あるいはSIMとチップの接続上の問題などで0.9秒以上と基準を大幅に上回る処理速度しか得られず現状では交通用としては受け入れられない状況にあるようです。
今後、世界の各交通機関で携帯端末をIC乗車券として使用できるようになるには、NFCチップ標準搭載の携帯端末が増え、また、新しい技術を採用したNFC SIMカードが開発されるようになるまでもう少し時間が必要のようです。
ここで、ふと疑問が湧きます。JR東日本がSuicaを導入する際にFeliCaを始め各事業者に求めた改札処理時間は0.1秒以下です。それをクリアできたのはSONYのFeliCaだけだったというのは有名な話です。
モバイルIC乗車券(Suica)も厳しいサイバネ規格をクリアしたうえですでに本格導入されているという高度な技術を持ちながら世界標準になれないのは何故なんだろうか…?
話が横道に逸れました。
とは言え、交通用に採用できなくても一般のモバイル決済を始めポイントサービスやタグ・リーダーとして情報収集手段には使えるので今年は様々なNFC対応サービスが世界中でブレークすることと思います。
GoogleやAppleの動向が楽しみですね。